豊潤な人生。
- 伊坂 幸太郎
- ラッシュライフ
なんていっていいかよくわからないが、とにかくあっという間に読んでしまった気がする。
実際には、チョコチョコと読み進めていたので、かなりの時間を要したはずなのだが、それがあっという間だった感じがしたのだ。
おかしな感覚。
ラッシュライフのラッシュとは、英語で次のような意味がある。(すべて形容詞)
lash「むちうつこと」
rash「無分別な、軽率な」
lush「豊潤な、景気のいい」
rash「突進する、殺到する」
4つの意味が含まれるタイトル。その物語にも4つのストーリーが展開されている。さらに10人以上の人間模様まで描かれている。
なぜか拳銃を手にする無職の男
愛人の奥さんを殺害しようとするカウンセラー
神出鬼没の泥棒
神を信じる青年
彼らを中心に、物語は動いていく。絡まっていく。
全て読み終えて、どれだけ様々な人生が蜘蛛の巣の網目のごとく、交錯をしているのかがわかる。
一瞬で読んだような気がした、、、
といったが、実際にそう感じたのは、複雑にからまった人生の流れに僕も乗っかるかのようにいられたからかもしれない。
そのような印象を与えるくらい小説に力が、からくりがあった。そして感性の面を刺激する、たくさんの人間のありのままの姿を描いていた。
最後の一文はこう締めくくられている。
ラッシュライフー豊潤な人生。
どんな人生も、そうなのかもしれない。