「本を食べる!?」 -23ページ目
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こんなにあったかい気持ちがあるのか・・・

著者: 灰谷 健次郎
タイトル: 太陽の子

子供の心を書かせたら、一番はこの人だろう。灰谷健二郎、彼の小説と出会えたことは、僕にとって幸運だった。


ふうちゃんが考えることは、純粋そのものだ。小学6年生の少女が、真剣に生きる姿は、僕の心を震わせてくれた。父親は沖縄戦争を経験し、それが原因で心をわずらう。父親のために、大切な人のために、自分をとりまく人々のために、ふうちゃんは一生懸命に生きる。ただの明るい良い子だったふうちゃんを変えたのは、父親の病気であり、たくさんの人との出会いだった。


人が成長するということが、どんなことなのかが、ここには書かれている。成功と成長は、まったくの別物だ。どんなに金持ちになっても、名誉ある職業についても、それが人を幸せにするとは、限らない。本当に偉い人というのは、見せ掛けだけの地位や名誉では、わからない。こころ次第かもしれない。

文中のふうちゃんが書いた手紙から引用

「-私のまわりにいる人たちを優しい人だとは思っていましたが、えらい人だとは思っていませんでした。えらい人というのは、えらい政治家や、すぐれた仕事をした芸術家や学者や、名の残るような実業家というような人たちを思っていました。今わたしは人間がえらいということはそんなことではないと思いはじめています。とても大きな問題なのでうまくいえませんけど、どんなにつらい時でも、どんなに絶望的なときでも、本気で人を愛することのできる人がえらいひとなのだと思うのです。-」

僕たちは幸せだ。多くのひとが、今の日本に生まれて、環境にも経済にも恵まれている。だからこそ、余計に大切なことにきづく機会が少なくなっているのかもしれない。環境が人を育てる、というが傍から見た粗雑な環境も人を育てる。充実した裕福な環境も人を育てる。要は、その人次第だということだ。ただ、与えられた幸せな(経済的にも・・・)環境が、当たり前だと思っているうちは、ふうちゃんの心はわからない。本当の意味で、えらい人にもなれないだろう。

初ブログです。大好きな作家。

著者: 白石 一文
タイトル: 見えないドアと鶴の空

人はどうして生きていくのか、それを一緒に考えていけるような小説。作者自身の考えでもある。

ちょっと不思議な力と男女の三角関係を描く。

人は、考え続けていくことを、それがやむことがないのを、主人公の思考から伝わってくる。いろんなことを考えながら生きているんだと、実感。


作品の冒頭の言葉

「人は親しい相手をよく知っていると思い込みがちだが、案外それは正反対なのだろう。親しくなればなるほど、その人をより深くしるべきであり、知る努力を継続すべきにもかかわらず、親しいと自覚した途端に実は無関心になるのかもしれない。」


知る努力を継続すべきにもかかわらず・・・

この言葉がいつも頭のどこかに残っている。そうだよな、と素直に受け止めてします自分がいた。

親しい友人も恋人も家族さえも、知り続けることは、困難だし、努力が必要なのだろう。

人は変化していくもの。変化って成長ともいえるかもしれない。その人のことを知りつづけるということは、変化を感じることなんだと思う。


親しい人ほど、付き合っていくことが困難なんだな・・・・


それでも、案外単純に通じ合っているのかもしれないとも思ったりする。


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